2011年5月アーカイブ

where2.0 2011 レポート1 基調講演で語られたクライシス・マッピング・プロジェクト

2011年4月、カリフォルニア州サンノゼで開催された"where2.0"カンファレンスに3日間参加した。初日に開催されたロケーションマーケティング・ブートキャンプのご報告はこの次にするとして、まずは4月20日の基調講演でパトリック・メイヤー氏が語った"The Future of Crisis Mapping"の内容をご紹介したいと思う。

クライシスマッピングプロジェクト―この始まりは、2007年―2008年ケニア危機のおりに、ケニアの住民たちへの情報提供を行おうと集まったジャーナリストの有志たちが始めたウェブサイトであった、という。当時、2007年12月に実施された大統領選挙の結果に不服を申し立て抗議行動を行ったところ、これが暴動になり多くの命が犠牲になった。このクライシスの中で提供された市民への情報には、地図上に示された危険地域を知らせる、という位置情報コンテクストが含まれていた。そして、このコンテクストはウェブや携帯から寄せられた人々のメッセージをいかしたものであった、という。このウェブサイトushahidiにはケニア住民4万5千人のユーザーがいた。2008年2月末政治的混乱は収拾され、それから2年半余りの歳月を費やし国民投票により新憲法が成立された。このときつくられたウェブサイトのクラウドソーシングは、ケニア以外の国のクライシスにおいても、有効に活用してもらえるのではないか、という考えから、これをケニアのような危機状況に置かれた地域や国々で活動する、ジャーナリストやエンジニア、ウェブ開発者を含むボランティア有志たちに利用してもらおう、とクラウドソーシングの提供をスタートさせたわけである。

 

 

基調講演でクライシスマッピングの未来について語ったパトリック・メイヤー氏は、このushahidiクラウドソーシングを活用したさまざまな国の事例を紹介してくれた。その中に、3月11日、日本でおきた東北沖地震の復興を支援する「sinsai.info 東日本大震災 | みんなでつくる復興支援プラットフォーム」が含まれていた。

このクラウドソーシングを活用してボランティア協力するメンバーが世界中から登録しているのが、The International Network of Crisis Mappers (CM*Net)  だ。Mappersは現在1760人で、79国で活動し、193国を対象にクライシスマッピングプロジェクトは実施された。 クライシスマッパーのサイトには、世界中でこの組織に登録しているメンバーの位置情報マップをみることができる。世界中の人たちが助け合うこのプロジェクトにサポートされ、東日本大震災の復興支援サイトが運営されていることをこの基調講演ではじめて知った。(ありがとうございます) 

突然だが、このマッピングプロジェクトの話を聞いて、2年前ほど前に読んだ人間の覚悟 (新潮新書)'五木寛之著のことを思い出した。

経済が、絆が、国が壊れていく。ついに「覚悟」をきめる時が来た。

そろそろ覚悟をきめなければならない。「覚悟」とはあきらめることであり、「明らかに究める」こと。希望でも、絶望でもなく、事実を真正面から受けとめることである。これから数十年は続くであろう下山の時代のなかで、国家にも、人の絆にも頼ることなく、人はどのように自分の人生と向き合えばいいのか。

「国家にも、人の絆にも頼ることなく...」、 本にある"国が壊れていく"という一節は今回の大地震を、それこそ想定したうえでのものではないだろうけれど、少なくともこのクライシスマッピングプロジェクトに感謝するとき、国家にも頼ることなく...、という部分は確かにそうかもしれないと思うところもあるが、人の絆にも頼ることなく...という部分については、"頼る"という表現は相応しくないかもしれないが、人の絆に救われることはある、と人の絆を頼もしく思った。そして、その人の絆を多くの人たちを助ける手段に活かすことができるソーシャルメディアの力も頼もしく思えた。

 

 

 

 

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2011年5月 5日

Eiko Hashizume (15:09) | コメント(0) | トラックバック(0)

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